ギルガメッシュという名前は、バビロニアの叙事詩のタイトルなのだそうです。キーボード奏者のアラン・ゴウエンとギタリストのフィル・リーらによって1973年に結成され1975年に解散・この間にリリースされたアルバムはこれ1枚ですが、1977年に再結成翌78年に再び解散し、この間にもヒュー・ホッパーのベースでアルバムを出ているようです。
このアルバムは、カンタベリーの音楽シーンを見ていく上で象徴的な位置にあります。ソフトマシーンやニュークリアスからナショナル・ヘルスに至る中間地点。ハットフィールド・アンド・ザ・ノースやゴングやヘンリー・カウの時代。プロデューサーは、ハットフィールド・アンド・ザ・ノースのリチャード・シンクレアです。
ヴァージン・レコードはマイク・オールドフィールドのチューブラー・ベルズや、タンジェリン・ドリームなどをリリースした後、こうした、マイナーな音楽シーンを発掘する活動を行っていたようで、75年には、ハットフィールド・アンド・ザ・ノースのロッターズ・クラブ、翌年にはデヴィッド・アレン(ゴング)のグッド・モーニングなどをリリースしています。
カンタベリーってどんな音?って聞かれた時にこれですって差し出したいようなシーンの特徴が詰まっている音楽かと思います。
他方で、こうしたカンタベリーのシーンの一番の特徴だと思っている点は、テーマとなるメロディーが骨太に提示されない点です。なんとなく浮遊するように提示はされているのですが、なんだか、テレパシーで送られてくるみたいな感覚で、耳に残るって感じではないんですよ。そうしたテーマよりもむしろ耳に残るのは、個々のベースラインであったりピアノのフレーズであったりギターのソロパートであったりします。
・・・つまり、一般には相当難解なのではないかと思います。技巧的にはかなり高度で、ちょっと、素人に真似のできるレベルでないことは確かです。こうした音楽に深くはまっている人たちには、イエスやフロイドやジェネシスなどの音楽はおこちゃまの音楽のように聞こえるのではないかという気もします。逆に、そうした難解さがマイナーである所以なんでしょうけどね~。リスナーを選ぶ音楽です。
そうした音に比して、ジャケットアートはめちゃPOPですよね。100マスのすごろく。ドラマーがギグに遅れたので1マス戻るみたいなことが書かれますし・・・。もうすぐ、お正月!コタツに入ってみかんを食べながら遊ぶのにぴったりかも(^^)v