Cafe Evil 9

ごくごく普通の何の変哲もない平凡でどこにでもあるようなブログです♪

Manfred Mann's Earth Band / The Roaring Silence

 1976年リリースのThe Roaring Silence、邦題「静かなる叫び」です。
 このアルバムは、マンフレッド・マンズ・アース・バンド最大のヒットアルバムで、全米第1位となったBlinded by the light(光に目も眩み)が収録されています。この曲はブルース・スプリングスティーンのアズベリーパークからの挨拶の1曲目で、オリジナルの方は、ちょっと酔っ払ったような緩いノリの大昔のロックです。他方、マンのバージョンはキーボード中心にアレンジが洗練されています。無駄な音が1音も入っていないくらい。完璧なプログレッシヴ・ポップ・ロックに仕上がっています。なので、こちらを先に聴いてしまうと、オリジナルはちょっと聴くに耐えない感じ。
 3曲目のインストルメンタルWaiter...を聴くと、マンフレッド・マンのキーボードの表情の豊かさがよく解ります。4曲目のバビロンへの道は、クラシックな女性コーラスを導入し、旧約聖書詩篇137篇「われらはバビロンの川の畔に座り、シオンを思い出して涙を流した。・・・」を題材にしたドラマチックな曲です。6曲目のスターバードはストラビンスキーの火の鳥を題材にした曲で、聖歌隊風アカペラからプログレ又はフュージョンチックなインストから再び火の鳥に戻るという面白い小曲です。

 一時、プラ盤の時代に、3曲目と7曲目の収録順が逆にされたことがありました。Questionsは光に目もくらみに続くシングルだったことから、それを前に持ってきたのかもしれませんね。でも、Singing the Dolphin throughと2曲ゆったりした曲が続くので、なんだかこの順に聴くとだれるんですよ。原曲順が一番です。ちなみに、Singin...は8分を超えるこのアルバムの最長ナンバーなのですが、私は、通常、これだけ飛ばして聴いています。
 マンフレッド・マンがアースバンドでやっている音楽は、キャッチーなロックなのですが、マンのキーボードワークが相当にプログレッシヴ感覚なので、自然に絡みつく装飾音やキーボード・ソロが曲に強烈な個性を与えているのだと勝手に思っています。そうすると、この2曲目を飛ばすと、マンの鮮やかなキーボードワークがアルバム全体に自然に広がって、いいテンションが最後まで維持されるんですよね。ただ単に2曲目が冗長で肌に合わないだけなんでしょうけどね。  手元のエアメール・アーカイヴの紙ジャケ盤にはボーナストラックで、Spirit in the nightsの77年シングル・バージョンが収録されています。これは、原曲のボーカリスト、ミック・ロジャースが前作で脱退しましたので、その後にボーカルを変えて再度録音し直したシングル・バージョンです。なので、ちょっとだけお買い得!