
1976年にリリースされた「クリスタル・ボール」です。
スティクスは、当初、ウッドン・ニッケル・レーベルと契約し、4枚のアルバムを発表しました。個人的には、この4枚は、荒削りで未整理ながら、
アメリカン・ポップとシンフォニックな
プログレッシヴ・
サウンドとさらにハードロックが混然と同居していて、その混ざりきらないバランス感覚が、なんとも刺激的で、それはそれで、めっちゃ好きなんですよ。
当時は、レディのヒットはあったものの、そこまでのブレイクは見られず、その後
A&Mに移籍して発表した分岐点から
ローレライがヒットして、ようやく世間の注目を集めるようになったのだそうです。

そして、このアルバムは、移籍後第2作に当たるわけです。このアルバムから、リード・ギタリストが、前作までのジョン・クルレウスキーからトミー・ショウに交代しました。トミー・ショウは、メ
ロディアスな瞬発力のあるギターを弾き、また、ちょっと甘めの声質でボーカルもでき且つ曲も書けるということで、スティクスは、以降、デニス・デ・ヤング(vo,key)との双頭体制に移行します。
このアルバムはこうした一つの起点になった重要なアルバムです。特徴としては、80sで大ヒットを飛ばすバンドの形態が誕生したというだけではなく、透明感のあるポップなメロディーに分厚いコーラス、そして煌びやかなプチ・
プログレ風味でプチ・ハードなアレンジ・・・というブリ
ティッシュ臭を排除した所謂
アメリカン・
プログレッシヴな世界が完成したといえると思います。

曲は全曲それぞれの表情があって素晴らしいのですが、特筆するとすれば、タイトル曲の「クリスタル・ボール」でしょうね。アコースギターに始まり哀愁の帯びたメロディーが歌われ少しずつ少しずつ盛り上がっていくアレンジはたまりませんね~。とにかく、メロディーが美しすぎます!サビのコーラスの後、少しトーンを落としたクールなギター・ソロでフェード・アウト。鳥肌モノです。そして、「月の光~
バレリーナ」。やはりこのアルバムでは、アップ・テンポの曲よりも哀愁たっぷりのミディアム・テンポの曲が好みです。メロディとアレンジが美しすぎ!昔は「ラン・ラララ~ウォ・ウォウォウォ」に少し引いていた時期もあったのですが、今じゃ免疫が出来て大丈夫です!