このジャケット・デザイン、最高にいかしてますよね。ロジャー・ディーンの筆による龍の図。淀んだ冬空の下、漆黒の海から飛び出した蒼い龍と波飛沫が実に緻密に描かれていて、音楽をかける以前にボーっと眺めてしまうほどのインパクトの強さなのでありました。
彼らエイジアは、イエスのギタリストであったスティーヴ・ハウ、ELPのドラマーであったカール・パーマー、キング・クリムゾンのベース、ボーカルであったジョン・ウエットン、バグルスからイエスと渡り歩いたキーボードのジェフリー・ダウンズという豪華絢爛なプログレッシヴ・ロックのメンバーが結成したスーパーグループなのでした。
そして、そんな彼らが、意外にもシンプルに、ちょっとだけシンフォニックな味付けをしながらも、ストレートにパワー溢れるポップスを提示してくれたのがこのアルバムでした。楽曲は、どれも、ポップなサビを置き、メロディーラインがかなりキャッチーに作られていながら、一方で、往年のプログレファンにも十分に訴求する短い中にも凝縮されたシンフォ感覚が詰め込まれているという、素晴らしいものでした。
冒頭の「ヒート・オブ・ザ・モーメント」!誰が、スティーヴ・ハウがこういうパワーコードのリフを弾くと思ったでしょう。と、後になって思うと非常にレアな彼のプレイが聴けるアルバムですよね。ひょっとした、実は信じられないようなヴォイシングでフレットを押さえていたりするのかもしれませんけどね(笑)
…とはいいつつも、そんなことは全然感じさせないくらい力強い、そんな出だしです。被ってくるカール・パーマーのかなりアフターなリズムも全てがカッコいい!
当時は、終曲のヒア・カムズ・ザ・フィーリングが異常に好きで繰り返し聴いてました!アトールのロックパズルがCD化された際のボートラにもアトール版が収録されましたね。ジョン・ウエットンの骨太のボーカルが、イタリアン・プログレの(という喩えが意味不明である可能性大ですが)ロカンダ・デッレ・ファーテを聴いているみたいに無骨で骨太に響いていて渋いんですよ!!!
MTV全盛期の1980年代初期に、まずプログレッシヴ・ロック勢が、その実力を知らしめた記念碑的作品でした。同時期、イエスやジェネシスが次々とシングルヒットを放ちスティクスやジャーニーもブレイクし、なんだか楽しい時期でした!
そんなわけで、ASIAには、次作以降も、すご~~~~く期待したのですが…、アストラまでは真面目に聞いてたけど、また、ロジャー・ディーンのジャケットはどれもイケてたけれど、以降の音は微妙でした~^_^;