収録曲は、Side 1 - 1.Reets Neet(7:11) 2.It's Time To Emulate The Japanese(7:30) 3.Talking(4:32) // Side 2 - 1.Three For All(6:35) 2.You're Me(5:38) 3.Goodbye Mr. Evans(7:47)。Phil Woods(as) Tommy Flanagan(p) Red Mitchell(b)のドラムレス・トリオによる1981年の録音です。
初めて聴いた時には、レッド・ミッチェルのベースの存在感に驚きました。ベース1本で、ここまでリズムが出せるものなんですね。
フィル・ウッズのアルトは一言で表すと優美。ドラムがいないからか、アドリブについても自然とメロディーに比重が移ります。聴いてる側もじっくりと室内楽を鑑賞するように集中してしまうわけですが、それに十分耐えて余りあるメロディーが溢れています。
彼は、比較的、抑揚、緩急、強弱など、ちょっとオーバー目に表現するタイプですが、このアルバムでは、そうしたあたりも、微妙に抑制されています。こうした繊細な音のコントロールというのは、録音技術の問題であったのか技巧の進化なのか解りませんが、50年代、60年代のジャズではなかなか表現し切れていなかった部分かなぁと思います。この録音は相当クリアです。
トミー・フラナガンは60年代までは名脇役といった印象でしたが、時代は変わり、このアルバムのグッバイ・ミスター・エヴァンスを聴くと、なかなか美しいメロディーを紡ぎ出すピアニストだったんだなぁと改めて感動しました。前年(1980年9月)に亡くなったピアニスト、ビル・エヴァンスに捧げたレクイエムです。後半、抑え気味に、しかもエモーショナルにフィル・ウッズがソロをとります。
1981年enjaレーベルからリリースされたアルバムです。当時のenjaは、どのアーチストのものもジャケット写真が秀逸ですね。オレンジが基調の倉庫か何かでしょうか。建物やらゴミの束やらドラム缶やらといった普段人が目も留めないような何気ない日常を上手く切り取った作品ばかりです。