ビル・エバンスはベーシストのスコット・ラファロとの愛称が非常によく、1950年代後半には、ポートレート・イン・ジャズ、ワルツ・フォー・デビーなどの秀作を発表しています。
スコット・ラファロが1961年に他界した後、ビル・エバンスは、暫くの間、いいベーシストに巡り合えなかったといわれていますが、このエディー・ゴメスとの愛称はラファロに匹敵するくらい抜群であったそうです。彼のベースラインは先鋭的なところがあるので、アルバム全体にキッと張り詰めたテンションか感じられます。ドラムのジャック・ディジョネットとのコンビネーションもなかなかいい感じです。
ビル・エバンスは、名演を数多く残していますが、個人的に、最もよく聴いたビル・エバンスは、この邦題「モントルーのビル・エバンス」です。1968年5月15日のライヴ録音。アルバムを買ったきっかけはスウィング・ジャーナル誌でした。丁度、ジャズを聴き始めたのが、ビル・エバンスが他界した1980年頃で、エバンスのレコード評が載ってたのではなかったかと思います。
初心者向けとしては、彼のピアノはひとひねりあるかなぁと言う感じは受けましたが、何回も聴くうちに耳に馴染んできました。司会者のメンバーを紹介するMCから、ライヴ全体が録音されているため、何回かのテイクを重ねて録音されたスタジオ盤とは一味違って、瑞々しさが感じられます。そういう意味でも、このアルバムは、個人的に大変気に入っている一枚です。
マネージャーに捧げたワン・フォー・ヘレンに始まり指先から紡ぎ出されるメロディーは、明らかに異質で個性的。なんだか思索的な美しさが漂っているように聴こえます。