Cafe Evil 9

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Red Garland / Groovy

 Red Garland / Groovy... 1956年12月18日の録音。レッド・ガーランドの「グルーヴィー」は、最もとっつき易く、しかも、優れたピアノ・トリオのアルバムだと思います。ジャズのLPやCDを扱うお店では、楽器別にアーチストのアルファベット順で音源が並べられていることが多いですよね。そんな中で、テナー・サックスとアルト・サックスそしてピアノというのは3大人気コーナーだと思います。非常に華やかなフロント・マンのパートであり優秀なソリストが競い合っている分野ですからね~。

 そんなピアノの分野で最初に何を取り上げるかということを考えた瞬間に、頭に浮かぶアルバムはこれを置いて他にありませんでした。肩肘を張らず、聴衆に異常な緊張感を強いない、早い話が、穏やかな気分で楽しく聴けるアルバム。それがこの「グルーヴィー」です。

 ロックの世界では、ディープパープルのジョン・ロード(key)がライヴ・イン・ジャパンのレイジーのソロにこのアルバム冒頭のC-Jam Bluesを引用しています。

 レッド・ガーランドは1923年生まれ。彼の経歴は面白くって、最初はボクサーだったのだそうです。しかも何十試合もこなしているかなり気合の入ったボクサーだったみたいですね。そんな彼が、ジャズを始めたのは20歳を過ぎてからだといわれていますから、ひょっとしたら、もともと、音楽の素養や経験があったのでしょうかね。

 クラリネット、サックスと進みピアノに至ったとのこと。23歳のときにビリー・エクスタイン・オーケストラに加入し、チャーリー・パーカーらと競演の機会に恵まれ、1955年にマイルス・デイヴィスクインテットに参加、めきめきと頭角を現していったということです。

 左手のブロック・コードと右手のシングル・トーンを組み合わせた演奏が特徴です。このシングル・トーンの音色がすっごく美しいんですよ。宝石が鍵盤上を転げているような雰囲気です。力強く、しかも優しい、そういう音色です。

 このアルバムでは、そうしたレッド・ガーランドのスタイルにアーサー・テイラーの抑制の効いたブラシとポール・チェンバースの堅実なツボを押えたベースが見事に融合して素晴らしい音空間が創造されています。

 C-ジャム・ブルースは、デューク・エリントンの作曲で、一度聴くと独特のリフが耳から離れないくらい印象深い曲です。しっとりとした雰囲気のゴーン・アゲイン。急速長の演奏で、レッド・ガーランドの右手の真骨頂とでもいうべきウイル・ユー・スティル・ビー・マイン。この3曲がLP時代のA面です。やはり、このサイドをよく聴きましたね~。

 B面トップの柳よないておくれは、アン・ロネルがガーシュインに捧げた曲、スロー・テンポで失恋の悲しみを柳の枝に訴えます。ホワット・キャン・アイ・セイはラウンジで流れていそうな耳障りのいい曲。ヘイ・ナウは、C-ジャム・ブルースと対比するかのような配置で、リフがお洒落なブルージーな曲です。

 ジャズに触れたばかりの方にとっては、ジャズという音楽の中で、各楽器がどのような役割を担っているのかということを手に取るように理解できる、そういう教科書的な演奏でもありますね。

 そして、このアルバムについて特筆しなければならないのは、ジャケット・デザインの秀逸さです。レンガの壁にチョークで書かれたタイトルやメンバー名。レッドのRが逆を向いているところなど、いかにも・・・って感じです。このジャケットはジャズ喫茶の壁を飾ることが多かったということですが、頷けますよね"^_^"