
このカテドラルは、UKの
ドゥームメタル・バンドではなく、1970年代の
アメリカの
プログレッシブ・ロック・バンドです。1978年リリースされた唯一のアルバム(・・・であったはずなのですが、何と2003年にキーボードのトム・ダンコートが他のメンバーを一新してカテドラルを再結成してアルバムを発表しています。)。
写真のジェケットは2010年にマーキーから発売された紙ジャケSHM-CDです。1990年頃に発売された輸入版CDでは、ロゴがゴシック系のヘビメタ的な棘々したレタリングでしたが、写真のジャケットはオリジナルに忠実に作られたものということで、絵と相俟ってインディーズ特有の緩さの目立つデザインとなっています。

一方で、彼らが演奏する音楽は、なんだか南部っぽく芋臭い風貌からは想像もつかないくらい複雑な正統派シンフォニック・ロックです。しかも、インスト・パートの畳み掛け方は
キング・クリムゾンです。メロトロンの白玉和音を背景にしたノイ
ジーな演奏は、
スウェーデンのアネクドテンとアングラガルド(エングラゴ~の方が発音に忠実?)を足して割った感じかと思います(時代は全くちがってて、こちらの方が随分と前ですけどね~)。こんな昔に、インディーズのバンドがこんな凄い音を出していたってところは、
アメリカの底深さでしょうね。
加えてカテドラルは、それよりも、さらに多彩な表情をしています。アレンジ面で、アコースティックな音の混ぜ込み方が秀逸なので、より奥行きが深い、よりシンフォニックな音になっているのだと思います。吹っ切れた能天気さに象徴される所謂
アメリカらしさが皆無であるところが逆にいえば個性なのかもしれませんが、これとてよくわからないところです。
何度も繰り返して聴かなければどういう音楽なのかメロディーをどのように捉えればよいのかといった曲全体の構造というか流れがよくわからないくらいにポップさのかけらすら見当たらない点は流石マイナーなバンドですね(笑)。

しかし、聴き込むに連れ、部分的にフレーズが耳に染み込んでくるようになり、そうなってくると、なかなか味わい深い音楽だなぁということがわかってきます。まぁ、言ってみればさき
イカを奥歯で噛み返しているような味わいのある不思議なアルバムかもしれません。
最初ちらっと聞いただけでは音がす~っと入ってこないのに、聴き進みにつれ新たな発見があるというのは、思い起こしてみれば、大昔にイ
エスのこわれものや危機やリレイヤーを聞いたときも同じだったなぁと・・・。