Cafe Evil 9

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Marillion / Script for a Jesters Tear

 1983年にリリースされたマリリオンのファーストアルバム、Script for a Jesters Tear、邦題「独り芝居の道化師」です。

 80年代初期、雑誌等ではネオ・プログレッシヴと当時呼ばれていた記憶があるのですが、後にポンプと呼ばれることとなるムーブメントが起こりました。マリリオンはポンプの旗手的な存在であったとともに、そこそこのセールスを記録し、以降長年続いたグループの一つです。ポンプといえば、Pendragon,Deyss,Castanarcといったところが思い出されますが、現在どのくらいのバンドが現存してるのでしょうか。

 さて、このアルバムですが、発売当初、メジャーであった、ミュージックライフとか音楽専科とかいった雑誌の評ではジェネシスっぽいと書かれていた記憶があります。・・・確かに、と当時は納得していたし、フィッシュの声が微妙に肌に合わなかったのですが、その後、レコード棚の隅で何十年間に渡って眠りつづけた彼らのアルバムをとあるきっかけで取り出して聴いてみたところ、かなりハマれることに改めて気付きました。

 特に、1stに当たるこのアルバム、2ndのFugazi、3rdのmisplaced childhood、そして、これら3枚から選曲されたミニ・ライヴLPであるBrief Encounterを聴き返してみて、改めて、Script for a Jesters Tearの曲の良さを再認識させられてしまいました。

 この曲は、強弱が極端につけられているので、かなり大音量で聴かないと小音量部分が耳に入って来ないところが微妙に難点ですが、ちゃんと聴くと、場面展開がかなり計算されていて、なかなか面白い楽曲です。

 このバンドは各楽器の音がよく練られていますね。今聞いてみても、残響がぽよんぽよん跳ねるドラムスと伸びやかで微妙に歪みのあるギターの音色がいい感じです。もちろん各種鍵盤の音色の良さは論を待たないところ。

 さて、2曲目He Knows You Knowを聴いて思い出したのですが、当時、フィッシュのこうしたヒステリックなボーカル・スタイルが大嫌いだったんですよ。メロディーに乗れてなくてせっかくのいい演奏にパンクみたいに汚い音を混ぜている気がして。でも、まぁ、何十年も経て聴いてみると、まぁ判らないわけでもないなぁと。

 ピーター・ガブリエルさんになろうとして極端に強弱付けすぎちゃいました。若気の至り。みたいな、そんな感じだったんでしょうかね。今となっては微笑ましく聴けたりしますので、私の耳も大分丸くなったものだなぁと・・・。

 Webも展開が大きいいい曲です。中間部のギターソロの後短いボーカルパートを経て様々な鍵盤を駆使した煌びやかな演奏は圧巻。サルマシス的だけどハード・プログレに通じるダイナミックな展開がめっちゃツボです!ほか端折りますがどの曲も8分前後で全6曲という構成も聞きやすくって、なぜか今頃どハマり中です!

 マーク・ウィルキンソンの絵がまた良いですね。プチ・ホラーが入っていますが、偏執的に緻密でプログレのジャケット以外考えられない絵。部屋に飾るにはちょっと恐いけど、時々取り出して眺めたくなります。このジャケットの裏側に描かれた部屋の床にはピンク・フロイドの神秘のジャケットも何気なく置かれています。枕の端が髑髏になってたりとか、そういう細部の拘りが良いのですよ~(^^)