Cafe Evil 9

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AD / Art of the State

 ADのArt of the Stateです。1985年のリリース。AD は、Kansasのマルチプレイヤーであったケリー・リヴグレンが脱退後に結成したバンド又はプロジェクトの名称です。語源はそのままAnno Dominiです。

 ADの活動は大きく3つに分かれます。第1期は脱退直後1983年から1984年までの「Kerry Livgren/AD」名義のバンド。第2期はこのアルバムを発表した1985年から1988年まで。第3期は1989年以降です。

 ケリーリヴグレンは、KansasがアルバムAudio Visonの録音を行なった1980年頃キリスト教に改宗し、その録音に際し彼が書いた曲にも色濃く宗教色が出ていると言われています。そうした中で、彼はバンドKansasを離れたわけです。くわしい経緯は不明ですが、AD第2期、ケリーがこのアルバムをレコーディングし、ツアーに出た時点で、彼のKansas関係の契約との兼ね合いで、このADのアルバムそしてADのライヴはキリスト教関係のマーケットの中だけでしか行えないように縛られていた模様です。ツアーは不発に終わり、ツアー後にボーカルが脱退、バンドは第2期の半ばで2年間事実上の解散状態にあったようです。なかなか散々な状況ですね。

 収録曲は、1. All Creation Sings(4:22) 2.We Are The Men(4:41) 3.Lead Me To Reason(3:56) 4.The Only Way To Have A Friend(4:16) 5.Games Of Chance And Circumstance(4:18) 6.The Fury(5:34) 7.Progress(4:39) 8.Heartland(3:42) 9.Zion(3:26) 10.Up From The Wastland(4:25) の10曲。

 録音のメンバーは、Kerry Livgren(g,key) Dave Hope(b) Dennis Holt(dr,per) Warren Ham(vo,woodwinds) Michael Gleason(vo,kry)の5人でした。

 このように、このアルバムは、Kansasで大ブレイクしたケリーの紆余曲折の真只中で発売されたものなのですが、個人的には、Kansas在籍中に製作されたSeed of Changeと並ぶ素晴らしい作品だと思います。

 内容は、上記の曲名をざっと見てもらえれば一目瞭然である通り、ベタベタのクリスチャン・ミュージックです。神の創造物は皆歌う・・・的な・・・(笑)、、、ともあれ、音楽が、なかなか洗練されていていいんですよ。なかなかのプログレッシヴ・ポップだなぁと思います。音の隙間を生かしたダイナミックな作曲が抜群です!

 キリッとした冬の朝なんかに聴くと、空気が結晶して固まりそうな無機的な音質と柔らかな光のような滑らかで荘厳なメロディーが同居しています。

 このCDは、まだAmazon.comもなかった1990年代のはじめに、ケリーリヴグレンが開設したnumavoxというサイトから他のケリーのCDと一緒に購入したものです。なんと、小包の発信者がケリー本人だったのでびっくりでした!古い写真なので不鮮明ですが左下です。Seed of Changeのジャケットのサインと同じ!