
稚拙な禿山をアップしましたので、それ繋がりでファイアー・バレー。バレエの方がいいですかね。ファイアーバレーは、1971年から1976年まで活動していた
アメリカの
プログレッシヴ・ロック・グループです。
これは、1975年に
アメリカのパスポートレコーズからリリースされた1stアルバムです。手元には、盤起こしでCD化されたものと思われる
スウェーデン盤のCDと、パスポートのオリジナル盤LPがあります。このLPは、かなり長い間探していたのですが、10年ほど前に、大阪なんばの某小さな中古レコ屋さんで信じられない廉価でゲットすることが出来ました。棚からこれが出てきたときは一瞬、固まりました(笑)
最近は普通に見かけるようになりましたけどね。
巷ではイ
エスっぽいとか
ジェネシスっぽいとか言われているようですが、私には、全くそういう風には聞こえなくて、むしろ、A面の3曲は、ブリ
ティッシュ・
プログレシヴの影響下にありながら、骨太な
アメリカのバンドらしさ、たとえばボーカルの芯の太さや、ドラムスとベースのバッキングに対する
モーグやギターの前への出方などオリジナリティがかなり感じられます。

彼らの演奏力がしっかりしている点は特筆すべきで、B面で
ムソルグスキーの禿山の一夜をアレンジして演奏しているところなど驚異的です。オケ譜にかなり忠実に、細かな装飾音までコピーしています。しかも、ヴォーカルパートまで創作して挟み込んでいます。終盤のボーカルのメロディーはほぼほぼタルカスですね。途中、このアルバムのプロデューサーでもある
イアン・マクドナルド(
キング・クリムゾン)のアルト・サックスのソロが入ります。でも、このボーカルとメランコリックなサックスの挟み方については
リムスキー=コルサコフは怒るんじゃないかなと思える唐突感です。
以降の
インストルメンタル・パートはなかなかスリリングです。厚みを持たせたキーボードの逞しさがちょっと
ELPっぽいかとも思いました。メロトロンからアープから
モーグからオルガンまで登場する豪華絢爛なキーボード群に重厚に歪んだギター。よく言えば、本家の禿山が冗長に思えてくるほどのハイテンション、インスト・バトルになっています。他方で、曲全体のバランスについていいますと、個人的には、ロックの一代大作としては、静の部分で曲全体のドライヴ感が損なわれているので、半分ぐらいの尺にして、ちょっと滑らかにアレンジし直したいところです。最近、興味が、そっちに向いていないので実際にはやらないんですけどね。