プログレは、しばしば、ジャズないし現代音楽へ接近します。ヘンリー・カウ、アート・ベアーズ、ユニベル・ゼロ、ア・トリガリング・ミスといったR.I.O.またはその継承者などなど。前衛志向の作品に出会うと、必ず思い出すのがこの作品です。
フリージャズの旗手であり、アート・アンサンブル・オブ・シカゴの創設者であるリチャード・エイブラムスが発表した作品です。ブラックナショナリズムが最も先鋭化していた時期の作品です。この点と音楽性との関わりが極めて重要であるようですが、そうした点については極東の国の住民にとっては想像を逞しくするしかないかなぁというところです。
冒頭のタイトル曲は、ソプラノのヴォーカルに始まり後半クラリネットのハイトーンが世紀末的狂気を演じます。
2曲目は、お経のような低音ヴォイスに始まり、リチャード・エイブラムスの情念のようなピアノにサックスが絡みつくやはり混沌とした演奏です。ドラムスの凄まじいソロ・パートも付けられており、このアルバムの中では最もジャズ一般に通じる構築性が確保された曲です。
このジャケットは、昔通っていたジャズ喫茶の入り口の壁にかかっていまして、どんな音が入っているのかがずーっと気になっていました。お店で聴いたことはなかったのですが、ジャケ買いして聴いてみてびっくりしたのをよく覚えています。ちなみに、最近のCDでは、ジャケットの緑の部分が黒になっていて、名前も「Muhal Richard Abrams」と「酋長」が冠されています。
全編、相当にシリアスで厳しい演奏です。ジャズ・ロック系やアヴァンギャルド系好きのみなさん。是非聞いてみてくださいね!結構面白いと思いますよ!