
フループは、
アイルランドのバンドです。デビューは1971年。バンド名はリハーサルに使っていた屋敷に住んでいた幽霊の名前なのだそうです。・・・さすがに変な音楽を演奏してるだけあって頭を打ってますよね(笑)。

ドーン・レーベルから解散までに4枚のアルバムを発表していまして、写真は、1975年11月発売の終作「当世仮面舞踏会」です。ヒットを出せなかった彼らが起死回生をかけて
キング・クリムゾンの
イアン・マクドナルドをプロデューサーに迎えて作成したアルバムだそうで、
イアン・マクドナルド自身もアルトサックスとパーカッションで演奏に参加しています。
ジャケットの絵画の精巧さからも力み具合がひしひしと伝わってくきますね。結果は売れず、まぁ普通に解散となってしまったようですが、アルバムの完成度はなかなかのものです。

様々な音楽の要素を1曲に詰め込むタイプのシンフォニック・ロックでる。4ビートのジャズ・ドラムをベースに、ベース、ギター、キーボードの4人編成。リード・ボーカルはベーシストがとり、キーボード奏者は
オーボエも吹いているようですね。
演奏は、まぁそこそこといった感じですがアレンジは意外としっかりとしています。音の強弱が大きいので、小さな音で聴くと聴き逃すところもあるかも。できれば大音量、又はヘッドフォンで聴くと、その緻密さが理解できます。

一方、作曲とアレンジが万人向けかというと、さすがにそうはいかないんですよね。ちょっと、泥臭さというか、ヘボいところがあるのです。私は、最初の曲がダメで、慣れるまでに相当の年数を要しました。静かにピアノの美しい調べで始まるものの、続くギターの旋律は、なんだかメランコリックで、よく言えばクリムゾンのエピタフ風、率直に言えば演歌風なんです。
「歌は流れるあなたの胸に・・・」みたいなMCが見事にハマる。そして、インテンポになるなり泳げたいやきくん風に展開するのです。いやぁ、困った!にもかかわらずボーカルの実力は脱力系というか癒し系の優しい声なんですよ。
続くマス
カレイド・
ウイズ・ドーンのイントロは何だか学生街の喫
茶店のヒットを放った「ガロ」風です。鍵盤の和音連打によりハイライトを迎えるその展開方法にもうぅんと唸ってしまうところがあります。要は、すっごくベタな音なんですね。
とはいいつつも、長年にわたり
スルメイカ的に聴き返している、ac不思議なアルバムなんです。いろんなゲテモノを聴いて免疫ができすぎてるからでしょうかね。