さて、マンフレッドマンの一番のヒットはというと、スプリングスティーンをカヴァーした次作「光に目もくらみ」(全米No.1)なのですが、彼は、これまでに他に2曲スプリングスティーンをカヴァーしていまして、その最初のカヴァーがこのアルバム冒頭のSpirits In The Nightなんです。
ちなみにもう1曲は、チャンスの3曲目のFor you。これらはいずれもGreetings from Asbury Park, N.J.からの曲です。
スプリングスティーンの原曲はラフで、ヨタった雰囲気の泥臭い曲なのですが、そんな曲でもマンがカヴァーすると、独特のシンセの音色でピリッと洗練されてプログレッシヴな風味に変わってしまいます。スゴイものですね。ホントに芸術的なカヴァーのセンスです!
アルバムのタイトル「ナイチンゲールズ・アンド・ボンバーズ」は、第二次世界大戦時にナイチンゲールの鳴き声と爆撃機のエンジン音を偶然同時に録音したある鳥類学者が残した録音が元になっているのだそうです。この録音がどういう謂れでどう価値があるのかさっぱり解りませんが、まぁそういうことのようで、As Above So Belowのエンディングにその録音が用いられています。
このアルバムは、歌モノでいい味を出している一方で全体にインストルメンタルにも重点が置かれていまして、マンが大昔からやってきたジャズロックと次作以降で開花する構築的なロックとがいい感じでブレンドされた過渡期的作品で、そういう意味では一期一会的なアルバムだと言えるのではないかと思います。