Cafe Evil 9

ごくごく普通の何の変哲もない平凡でどこにでもあるようなブログです♪

Kansas / Absence of Presence

 Kansasが2020年にリリースしたアルバム。Absence of Presenceです。往年のKansasには欠かせないボーカリストSteve Walshもマルチプレーヤーでありほとんどの大曲を作曲していたKerry Livgrenもこのアルバムにはいません。創生メンバーで残っているのはドラムスのPhil EhartとギターのRich Williamsだけです。

 主要なメンバーは変わってしまったものの、伝統的なKansasサウンドが脈々と継承されている点は、企業のようですね。YesもPurpleもそんな感じ。

 Kansasは80年代中期、audio visionsを発表後、一度Steve Walshが抜け、その後、Kerry Livgren、Dave Hope(b)、Robby Steinhardt(vln,vo)(R.I.P.)も抜け、以降、何十年もの間、発表するアルバムは微妙で(Steve Morse's Kansasはちょっと面白かったけど)、往年のファンとしては悶々とした日々を送ってきました。

 川崎チッタのライブでSteve WalshのSong for AmericaやMiracles out of nowhereが聴けたのがわずかな救いでしたね!このライヴは行っておいてよかったなぁと。

 そうした中、さらに時が過ぎて発表されたこのアルバムは、これまでの鬱憤を吹き飛ばしてくれる快作でした。前作は、このアルバムとほぼ同じメンバーで作られているににいまいちピンと来ませんでしたが、これは一際違っていました。核はほとんどの曲を作曲し、プロデュースも行っているギターのZak Rizviです。彼は翌2021年に早くも脱退してしまうので、振り返ってみると、一期一会的なアルバムであったわけですが、全ての曲の完成度とアルバムを通して聴く際の纏まりが際立っています。永遠の序曲、暗黒への曳航の次くらいに並べてもいいかなぁという出来です。

 Kerry Livgrenの作り出した往年のゆったりしたオーケストレーションを継承しつつも、Dream Theaterに代表されるProg-metalのフィルターを通過しているので、ギターの歪み、各楽器の粒立ち、リズムの細かな刻みがちょうどいい具合に仄かにメタリックなんですよ。ここが新生Kansasというか、このアルバムのポイントかなと思います。

 写真はパープルVinylのLPです。CDもついていました。ジャケット・アートもいいですよね。このほかクリアや黒のレコードもあるようです。

 1点だけ難点を言わせていただくと、このLPは2枚組で、1〜3面までに音楽が入っていて、4面目はジャケットの絵柄がプレスされているだけで、空になっています。このアルバムの収録曲のトータル時間は47分なので、2枚組じゃなく、1枚で、きちっとAB面に曲を配分した方がレコオタ的にはよかったのではないかと思いました。絵柄の刷り込みは、ピクチャーレコードにするとかスティクスのパラダイスシアターのようなレーザー・エッチングにするなどいくらでも凝り様は考えられますので。このせいで、せっかくアナログで買ったのに、普段聴きはCDになっています。