ベルギーの暗黒チェンバー・ロック・バンド、ユニベル・ゼロの4作目ユーズドです。1984年のリリース。メンバーが交代し、肝であったオーボエがいなくなりましたが、メロディーの怖さは相変わらずです。そうした中、4作目ともなると聴く側も随分と慣れてきて、意外と平常心で鑑賞できるレベルに昇華されています。一言で言うと、前衛古典風味ジャズロックですかね。
収録曲は、 Side 1 - 1.Présage(9:48) 2.L'Étrange Mixture Du Docteur Schwartz(3:52) 3.Célesta (For Chantal)(6:55) // Side 2 - 1.Parade(6:37) 2.Émanations(15:43)。特に1曲目の「前兆」は、彼らのなかでもとりわけ急速調の演奏で、いわゆるプログレとフュージョンの中間あたりの聴感です。
2曲目「ドクターシュワルツの好奇心が強い混合物」は強力なビートとピアノ、室内楽器による変拍子を多用した怖いけどユーモラスな曲。3曲目の「(シャンタル用)チェレスタ」は、暗黒面全開でロックの片鱗が見えない曲。ほぼほぼ現代音楽です。4曲目「パレード」は1曲目と同様彼らの演奏にしてはなかなかスピード感のある曲。こうしたあたりが変化ですね。そして終曲「発散」は15分に及ぶ暗黒超大曲です。ユニ・ゼロはこう来なくてはという、従来からの暗黒ファン納得の1曲です。
私的には、これが、ユニ・ゼロの中で最もローテ率が高いアルバムです。一般的に最高傑作と言われている祝祭よりもリズムが軽いところがツボです。
ちなみに、このアルバムは、「1313」などと同時に1990年初旬、まだネットが一般的ではなくダイヤルアップ接続のniftyのパソ通が主流だった時代に、frockのプログレ隔離室に出入りしていた人たちとのオフ会で入手したものです。入手先は、御茶ノ水のジャニス。レンタル落ちです。「俺(私)にも云わせろヨ!」という交換日記がついていまして、ライナーがわりに楽しく読ませていただき、当時の貴重な資料として厳重に保管させていただいております。当時これに書き込まれた方、いらっしゃるのではないでしょうか?