ルネッサンスは非常に活動暦の長いグループで、人脈を辿ればその源流は1960年代のYardbirdsへ至ります。元はヤードバーズのボーカリストであったキース・レルフとドラマーのジム・マッカーティがはじめたバンドです。
曲の冒頭や中間部でクラシックを原曲のまま大胆にピアノで弾き切っていて、これが、割合自然にロック調の曲に馴染んでいて、なかなか面白い試みでした。また、エレクトリック・ギターは基本的に用いず、全体にアコースティックギターのカッティングを主体としてフォーク・ロック・タッチの演奏でした。
当時はキース自身が歌い、彼の妹のジェーン・レルフに一部の曲でボーカルをとらせていました。まさに、ヤード・バーズのファンに聴けるものなら聴いてみろと言わんばかりの音の提示でした。
当時は、プログレの黎明期。まだプログレという括りはなくって、アートロックなどといわれていたようですが、この時代のこの種の音というのは、それぞれのバンドの進化後の到達点は違えど、一致していたというか、同じ根っこだったということが、聞き比べてみるとよく分ります。それは、装飾部分を取り去った音楽の骨格がブルースを基調としたロックであったという点です。
その後、このルネッサンスは2ndのを発表するも見事なまでに成功することは出来ず自然消滅となっていたのですが、ある日、突如として復活しました。何と、復活ルネッサンスのメンバーは2ndの録音メンバーと誰一人として被っていなかったんです。
2nd → 3rd
Keith Relf (g,vo) → Rob Hendry (g,vo)
Jim McCarty (dr,vo) → Terence Sullivan(dr,per,vo)
John Hawken (key) → John Tout(key,vo)
Louis Cennamo (b) → Jon Camp (b,vo)
Jane Relf (vo.per) → Annie Haslam (vo)
この「燃ゆる灰」は新生ルネッサンスの第2作、バンドの通算で第4作に当たります。 面白いことに、バンドのメンバーに被りはないものの、その音は、当初キース・レルフが創造したとおり継承されていました。しかも、アニー・ハズラム様のお声によってソフィスティケイトされて"^_^"
そんなわけで、誰が何といおうと、ルネッサンスがルネッサンスらしかった時代は、アニー・ハズラム様在籍時(90年代のアニー・ハズラム・ルネッサンスは除きますが・・・)の1971年から1987年までの17年間です。さらに、ルネッサンスの最高傑作アルバムを1枚選ぶとするならば、誰が何と言おうと、この「燃ゆる灰」です。これに勝るアルバムは他に存在しません。
プログレ界のアイドル、アニー・ハズラム様の透き通った歌声が実に繊細に響き渡っています。他のアルバムに比べて曲調が明るいのもこのアルバムの一つの特徴でしょうか。ルネッサンスの代表曲、キャン・ユー・アンダースタンド、カーペット・オブ・ザ・サン、港にて、燃ゆる灰などを収録したファンの官能を極める作品群です。
歌曲をシンフォニックに構成したアレンジの素晴らしさ、メロディーラインの美しさは何物にも替えがたいところです。トラッドとクラシックとロックが絶妙に調和を保っています。
タイトル曲の燃ゆる灰は圧巻の一言。もうそれ以上付け加えることなど何もないのですが、実はそれ以上に、個人的にツボなのが「港にて」です。殆ど無伴奏で歌われるメロディの美しさはもう昇天してしまいそう"^_^"
さて、アルバムのカヴァー写真なのですが、英国盤と米国盤で表情と服装が異なっているようですね。アニー・ハズラム様の表情は英国盤の方が断然いいと思います。写真は、当該英国盤仕様の国内プロモ盤です。