Cafe Evil 9

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Arti e Mestieri / Tilt


 アルティ・エ・メスティエリ(Arti e Mestieri)は、フリオ・キリコ(dr)を中心に1973年に結成されたイタリアのバンドです。リリースした主要なアルバムとしては、1974年にリリースされたこのファースト・アルバムの他、1975年のCiro di Valzer Per Domani、1976年のQuinto Stato、1981年のAcquario、1985年のChildren's Bluesの5枚、そして1990年に突然発売された1974年すなわちこのティルト発売時のライヴなどがあります。


 2014年のアカデミー賞で監督賞、視覚効果賞、撮影賞、音響編集賞、録音賞、編集賞、作曲賞の7冠を獲得した英国映画、アルフォンソ・キュアロン監督の「ゼロ・グラビティ」を観て、本当のタイトルは無重力ではなく重力だったことが判ってプチ・びっくり。そして、重力で思い出したのがこのアルバムでした。収録曲:1.Gravità 9,81(4:07) 2.Strips(4:41) 3.Corrosione(1:25) 4.Positivo/Negativo(3:39) 5.In Cammino(5:31) 6.Scacco Matto(0:57) 7.Farenheit(1:16) 8.Articolazioni(13:52) 9.Tilt(2:35)・・・の1曲目♪


 Artiは芸術家、Mestieriは職人の意。eはAnd。バンドの名称が示唆する通り、このティルトに収録された曲はいずれも、卓越したテクニックとセンスによって彩られた素晴らしい物ばかりです。


 優美なバイオリンの音色と、その背景で展開される手数の多いドラムを聴けばわかるとおり、バンドの音の基礎となりかつそれに強烈なテンションを加えているフリオ・キリコのドラムには鬼気迫るものがあります。ロールを多用したスネア・ワークが大きな特徴です。ティルトは発売後数十年を経過しているにも拘わらず、何度聴き返してみても何ら色褪せることがない稀なアルバムの一つです。70年代のイタリアのプログレには英米とは一味違ったピリッとしたものが多いので、小出しにしていこうかと思います。そうした中でもこのアルバムは、キングレコードがユーロ・コレクションの帯のコピーにしていたとおり、まさに「イタリアの奇跡」です。