Cafe Evil 9

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It Bites / The Big Lad in the Windmill

 「The Big Lad in the Windmill」は、1986年Virginからリリースされた、イット・バイツのデビュー・アルバムです。It Bitesの第1期メンバーの4人は、結成後1990年に解散するまで不変でした。

 

 彼ら4人は、ともにイギリスのカンブリア州エグモントの出身であり、ジョン・ベックを除く3人は小学校時代からの友人でだったそうです。3人は16才になり、1才年上のジョン・ベックと出会いバンドを結成し、1984年に4人はロンドンの空き家で生活を始め、デモテープを制作、85年にヴァージンと契約し、86年3月にデビュー・シングルall in red、7月にCalling all the heroesを、そして、11月にアルバムThe big rad in the windmillをリリースしました。

 

 本作は、全体に3分から5分くらいの小曲で構成されています。しかしながら、短い演奏時間のそれぞれに詰め込まれた音の密度は相当に濃い物です。完成された音はハードロック風味のポップなものなのですが、各楽器の配置やパートの割り振りなどなど、どの曲も実に技巧的に作り上げられています。

 

 物凄くマニアックに曲に装飾を施すジョン・ベックのキーボードワークはこのバンドの要です。これに加え、このアルバムで強烈に耳に残るのはフランシス・ダナリーのギターの音色とフレーズです。

 

 I got you eating out of my handやturn me looseの中間部に見られるアラン・ホールズ・ワースばりのメカニカルな高速フレーズ、Cold,tired and hungryの冒頭に見られるかなり粘りのあるピッキング、You'll never go to Heavenの流れるようなソロ。一癖も二癖もあるこんなタイプのギターは聴いたことがありませんでした。

 当事、フランシス・ダナリーはスクワイアのギターをメインに弾いていました。当事の雑誌かテレビかのインタビューの記憶に寄れば、デビュー前、非常に貧乏で、フェンダーが買えずスクワイアを買ったのだそうで、そのギターが非常に手に馴染んでいるので、ピック・アップ等を取り替えていまだにそのボディーを使っている、というものでした。それを聴いて、やっぱりモノじゃなくテクなんだぁ、と納得したものです(でも、このアルバムの内袋の写真ではフェンダー持ってますね^_^;)。

 

 また、彼は、ライヴの際、ストーンズキース・リチャーズ(笑)と対照的に、非常に高い位置にギターを構えます。丁度胸と腹の中間くらいです。イエススティーヴ・ハウのポジションよりもまだ高いんですよ。これを目にした時には、上手いギタリストほどポジションが高い、というジンクスが頭をよぎりました。超絶技巧ギタリストは見栄を張るなら首の下に構えなければいけませんね(笑)

 

 さて、バイツですが、フランシス・ダナリーが抜けたものの、ジョン・ミッチェルというミスター・ビーン顔ながら、すっごくいい声でギターの上手いフロントマンを加え2006年に再結成しています。This is Englandは、このアルバムに収められているYou'll Never Go to Heavenや次作のYellow Christian等々を彷彿させるプログレ大作です。そちらもおススメ!