1971年にリリースされたトントンマクートのセルフタイトルのアルバムです。
Ton TOn Macouteというのはハイチ語で麻袋おじさん。クリスマスの夜にいい子にはサンタが、悪い子には麻袋を持った人攫いのおじさんが来るのだとか。さらに、この名前は、フランソワ・デュヴァリエ政権下の極めてヤクザな組織である国家治安義勇隊を指すのだとか(by Wiki)。こうした危険な名前をバンド名に冠してしまったのはなぜなのかよくわかりませんが、彼らの演奏する曲の歌詞を見ると、全く政治色はなさそうです。また、音楽自体は、普通に往年のジャズロックです。
収録曲は1. Just Like Stone 2. Dont Make Me Cry 3. Flying South In Winter 4. Dreams 5. You Make My Jelly Roll 6. Natural High (Part 1) 7. Natural High (Part 2)の7曲です。
このアルバムのキーフが撮影したジャケットはプログレ関係のネタ本などで頻繁に紹介されていますので、音楽以上に有名です。そうしたことから、オリジナルのネオン盤のLPは中古屋さんの壁飾りですね~。写真はエアメールレコーズの紙ジャケです。
昔出ていたAKARMA直輸入国内ディストリビュート盤の帯には「渾然としたブリティッシュロックの中にたたずむ枯山水」というキャッチコピーが書かれていました。
京都の龍安寺の石庭とこのジャケットの雰囲気が似ているので安直にこういったコピーになったような気がしないでもないですが、でも、なかなかイケてますね。音楽の質感もまさにそんな感じです。
キャッチーなメロディーラインには全く縁のない、まさに、俗世を解脱した感のある枯れた音です。枯れたブルースをベースに、インスト・パートではフルートやピアノ、アルトサックス、オルガン等がブルージーに展開する。実に繊細な静的なジャズ・ロック。似非座禅でも組んで聴くと小気味よいかも、という不思議な音楽。