Cafe Evil 9

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Scorpions / Lonesome Crow

 通算50回目のポストは、なんとスコーピオンズです。デビュー・アルバム「ロンサム・クロウ」、邦題「恐怖の蠍団」です。

 スコーピオンズはドイツのグループで、結成は1965年に遡ります。ルドルフ・シェンカー(g)がスコーピオンズを結成。1970年、スコーピオンズのリード・ギタリストが、麻薬所持で逮捕され活動不能状態に。そこで、当時、コペルニクスというバンドをやっていたクラウス・マイネ(vo)とマイケル・シェンカー(g)が加入。そして、1971年、メトロノームと契約し翌1972年にデビュー・アルバム、ロンサム・クロウの発売に至ったということです。

 

 その後、UFOの前座をスコーピオンズが演っていたときに、たまたま、ミック・ボルトン(当時UFOのリードギタリスト)が失踪し、代役でプレイしたマイケル・シャンカーがそのまま引き抜かれてしまいました。

 

 上の写真はテイチク盤なのですが、こうした経緯から、このアルバム発売時点で既にUFOのメンバーとしてブレイクしていたマイケル・シェンカーが入っている旨、殊更「feat.Michaek Schenker of UFO」と大書きされているわけです。

 スコーピオンズがようやく日本で市民権を得る兆しが見えたのは、RCAから発売された「イン・トランス」(3rd)の時でした。「Fly to the rainbow」(2nd)からウルリッヒ・ロス(g)が加入して、重量感が増しツインリード・ギターのコンビネーションというか役割分担が明確になり、いわゆる優秀なハードロック・アルバムにななりました(このアルバムは思い入れが強いので近々載せるかも。)。

 

 この当時、マスコミが書き立てたのは、スコーピオンズは「イギリス的な本格的なハードロックバンドである」というコピーでした。そしてその際、ドイツのポピュラー・ミュージックの象徴的存在として比較対照されたのが、今になってみれば抱腹絶倒なのですが、クラフトワークやタンジェリンドリームといったジャーマン・シンセサイザー・ミュージック系の人たちだったのです。時期的に、ドイツからハードロックというのが我が国では珍しいことだったんでしょうね。

 そこで、ロンサム・クロウに目を向けてみましょう。

 その筋の皆さんは既にお気付きのとおり、何と、ロンサム・クロウはかのブレイン・レーベルから発売されていたのです。アルバムの右上に燦然と輝く脳味噌マーク。クラウス・シュルツさんをはじめ、ジェーンやグルグルでお馴染みのレーベルで御座います。

 

 ロンサム・クロウは聴きようによっては、圧倒的なマイケル・シェンカーのワンマン・プレイを聴くための、ギター・キッズ御用達のアルバムなのですが、一方、楽曲は、ブリティッシュ・ハードロックっぽくもあり、ジャズ・ロックっぽくもあり、どれにも当てはまらなくもあり、といった一風変ったものです。

 

 スウィングするドラムスとベース。語り掛けるようなヴォーカル。全体に漂うような浮遊感があふれ、それと対照的にギターがエッジを立てて暴れまわるという具合です。ジャーマン・ジャズ・ハードって感じですかね。なかなかプログレッシヴ!

(ドイツの初盤を復刻した紙ジャケCD)

 

 現在聴き返してみると終曲13分強にのぼるロンサム・クロウのサイケデリックな中間部を含む展開は、まさしくプログレッシヴ・ロックそのものですし、他の小曲も全てがどこかしらサイケの香りが漂う先鋭的な楽曲であったことが解ります。深い霧の向こうから響いてくる木霊のような音。ロンサム・クロウは、そういった不思議なアルバムです。