スティクス、カンサス、ジャーニーときたら、これしかないですね!Bostonが1976年にリリースしたファーストアルバム、邦題「幻想飛行」です。ファースト・アルバムにして最高傑作!!!
ボストンは、アメリカン・ポップスとプログレ的なオーケストレーションの手法が融合したアメリカン・プログレ・ハードと言われた当時のムーブメントの旗手的な存在でした。・・・とはいうものの、そんな堅苦しさを全く感じさせない、スカーーーッと頭の先まで突き抜けるような爽快なポップス感覚がボストンの最大の特徴でしょう。1976年の発売直後に、本作「ボストン」は1000万枚という驚異的なセールスを記録、アルバムチャートでいきなり3位となりました。
ボストンの中心人物はマサチューセッツ工科大学出身のトムシュルツで、彼はデビュー以来、コンピューターとシンセサイザーを使わないということを制作の方針としていたようです。ただ、そうした機器を用いない代わりに信じられないくらい多重録音をしています。機器を用いて一発録り出来る演奏力があるのとミュージシャンとしてどちらが優れているのかは考え物ですけどね。
ボストンの開放感のある煌びやかな音は、ロック・マンなるトム・シュルツ考案のエフェクトで処理されたオーバードライブとディストーションの中間くらいの風味のギターの音が一つの特徴となっています。これにアコースティック・ギターとオルガン、さらに厚いコーラスが加わってボストンの音が出来上がっています。
ロックマンなるエフェクト・システムが出来上がったのは、2ndと3rdの間くらいであったように記憶しているのですが、音は1stから4thまで一貫しているので、このエフェクターの効果がどれだけのものかというのもまた、よくわからないところが面白いですね。まぁ、何かを極めようと研究されている方の頭の中は、その分野にかかわらず庶民にはイマイチよく理解できないことが多いものです。
とはいえ、音が一貫しているといいながらも、個人的な好みでは、3rd以降は多重録音ないし音に深みをつけるための処理に凝り過ぎていて、曲自体の面白味がなくなっています。なので、ロックバンドとしての音の力強さ、訴求力を考えれば2ndまでかなぁと思います。
そして、2ndのドーント・ルック・バックはアルバム全体のトーンがやや平坦になっていますが、このデビュー・アルバムでは、随所に散りばめられたオルガン、アコースティック・ギターにより効果的に起伏がつけられており完成度が群を抜いているといえますね~。
・・・そんなわけで、はっきり言ってしまえば、ボストンはアルバムを出すたびにつまんなくなってきているってことなんですけど、逆にいえば、ファースト・アルバムはその全てが聴き所だといえる凄いアルバムなのです。
モア・ザン・ア・フィーリングのほかカッティングのイントロがカッコいいピース・オブ・マインド、荘厳なオルガンの響きが扇動するフォープレイ、歓声のサンプリングがいい味を出しているロックンロール・バンド、ギターとオルガンの絡みが凄まじいスモーキンと挙げればきりがないくらい!
余談ですが、当時、授業中、ノートの端にギター型宇宙船の絵を落書きしたり、Dで始まるモア・ザン・ア・フィーリングをギターでコピーしたりした人は大勢いるんじゃないかなぁ。一推しはこの曲!