おはようっございます。早朝から、1970年にリリースされたサード・イヤー・バンドのセルフタイトルのアルバムを聴いています。バンドは当初「エレメンツ」というタイトルにしようとしていたようなのですが、理由は不明ながらレーベル側に拒否されたのだとか?邦盤のタイトルは「天と地、火と水」でした。
「エレメンツ」が指すとおり、収録曲は、天、地、火、水の4曲です。内ジャケには、ホロスコープの中にメンバーの名前や楽器、収録曲名、左半分にはメンバーの写真が載っています。ルックスはかなり病的です。目を見ると薬中のヒッピーにしか見えません。そういう売り出し方だったのか又はそのものだったのか。時代的には後者でしょうね。
使用されている楽器は、パーカッション、オーボエ、バイオリン又はビオラ、チェロです。チェロ奏者のウースラさんは女性です。アネクドテンにしてもディストリクト97にしてもロックバンドのチェロって女性が多いですね。こうした凡そロックという語感とは縁遠い楽器で奏でられる音は、中近東をイメージさせる呪術的な不協和音です。しかし、それらがパーカッション又はピッツィカートによる規則的なビートに載せられているところが実にロック的なのです。
サイケデリックトランスとかゴアトランスとかいったあたりの原型なのかもしれないですね。兎に角、この音を聴くとロックっていうのは楽器種やリフトサビのようなお決まりの構築性では画定されない普遍性を秘めているんだなぁとつくづくと思います。キメはセンスとグルーヴですね~(^^)
一聴すると、なんだか日本の村の祭りを眺めているような喧騒の音楽といった感じです。騒々しいのですがメロディーが思いっきり東洋的なので不思議な安堵感が得られます。実際には、反復するリズムの上で延々と繰り広げられたトリップ・セッションの録音なのだという解説もみましたが、緻密に作曲されているようにも聴こえます。どうなんでしょうね。今こうして聞くとミニマル・ミュージック的なノリで聴けるのも面白いところです。
写真は1973年頃の東芝音楽工業盤です。真黒オデオンです。LPの帯のコピーは「謎の音塊と不分明の余白、これが神秘のサード・イアー・バンド!」でした。
ライナーの紙にはバーヴェスト原盤使用と書かれています。ライナーの裏にはフロイドや、クオーターマスやホークウインドらのアルバムが紹介されています。これらアーチストの上に架されたタイトルも今となっては笑えますね~^_^;「発売中の実験音楽、或いは思考的音楽の一部」なんですよ。こんなにもヘンテコでマニアックな音楽に当時のレコ会社はここまで気合が入ってたんだなぁと・・・大らかな時代だったんですね~(^^)