一際煌びやかなエニドです。シンフォニック・ロックを語る上で絶対に外せないのがこのエニドです。これほどまでに完成されたオーケストレーションを聴かせるバンドは他に存在しないのではないかと思います。エニドの場合は、ロックに装飾音としてクラシックが乗っているというよりは、クラシックのスコアをロックの楽器で演奏しているという感じです。
Aerie Faerie Nonsenseはセカンド・アルバムです。写真は1984年のLP。この録音のマスター音源は一度消失してるのだそうで、1985年にリレコーディングされ、その後に発売されたアルバムにはそのヴァージョンが収録されているそうです。
我が家には、ピンクのジャケットのLPで1983年リレコーディングというヴァージョンもあります。そうするとこのアルバムの音源はこれなのかな。また、2006年の紙ジャケCDには、さらに1999年リレコーディングのファンドも収録されています。まぁ、よくわかりませんが、何回も録り直しているようで、ロバート・ジョン・ゴドフレイさんのこのアルバムへの思い入れの程が伝わってきます。
2006年のCDの帯には「エニド屈指の名曲ファンドは一聴の価値あり!」とされています。そのとおり、素晴らしくシンフォニックな曲なんですが、あまりにもシンフォニックすぎて、ロック好きはちょっと引くかもって感じがします。本当に一聴の価値あり!と断言できるのは、Childe Roland(A Heroe's Life)です!
この曲は、演奏時間約7分の中尺曲ですが、この逞しい主旋律と目まぐるしい場面転換、歪んだギターの巧みな使い方など、曲中にぎゅうぎゅうに詰め込まれた古典の技法による作曲、編曲とロックのビートが自然に融合している様を聴くと、暫くの間、他の似非シンフォ・バンドなんか聴けなくなってしまうのではないかと思います。それほどに、文字通り「シンフォニック・ロック」なんですよ。
蛇足ですが、紙ジャケの帯裏解説には「フロントのファンタジックな世界と浦安に潮干狩りに来た外人にしか見えない裏面のバンド写真との落差もお楽しみください!」なんていう酷いことが書かれています(爆)。でも、なかなか自虐的ながら、言い当ててますよね!