ライヴは楽しめるものの、終盤になるにつれスタジオ盤に勢いがなくなったELPですが、70年代には優れた大曲を数多く発表していました。展覧会の絵、タルカス、永遠の謎、トリロジー、悪の経典#9、海賊、将校と紳士の回顧録などなどです。
そうした中でも極めつけの1曲が、このタルカスです。
なぜ極め付けか!火山の中で卵から孵ったタルカスが散々大暴れし、あらゆる敵をボコボコに粉砕し、最後の戦いで、マンティコアに蠍の尻尾で目を突かれて敗れ、海に帰ってゆくという超お馬鹿なストーリーとウイリアム・ニールのイラストが異常に好きだからなんです。
この超御馬鹿なストーリーを大真面目に演奏するお馬鹿さを考えると、もう笑ってしまいそうなのですが、彼らの演奏を聴くとそういったことはどうでもよくなってしまいます。ただただ、凄まじいのです。
ELPは、卓越したテクニックを誇るキース・エマーソン(key)(R.I.P.)を中心とするトリオです。グレッグ・レイク(vo,b)(R.I.P.)も死んじゃいましたし、ブラック・ムーンツアーに行っといてよかった(^^
クラシックに元ネタのある曲が多いといわれていますが、それにジャズからのパクリフレーズやカントリーまでもロックの中に糞味噌に混ぜ込んだパーカッシブな音楽の小気味よさは他に比較すべきアーチストを見出し得ないのではないでしょうか。むしろ、テクニック云々よりも、聴くべきは破天荒極まりないキース・エマーソンのぶっ飛んだセンスです。
今でこそキース・エマーソンのクローンのようなキーボーディストはそれなりにいますが、似ている部分があるとしても、それはほんの表面をなぞった程度に過ぎないように思います。このことは、ELPのアルバムを一聴すれば明らかな限りです。
タルカスには、タイトル曲の他にも、カントリー・フィーリングたっぷりのジェレミー・ベンダー、チャーチ・オルガンが美しいジ・オンリー・ウェイ、ぶち切れぎみのロックンロール、アー・ユー・レディー・エディーなどバラエティーに富んだ曲が並んでいます。
これで、メジャーどころは、一通り、1枚ずつ載せられたかな。