リターン・トゥ・フォーエヴァー(以下長いのでRTF)は、チック・コリア・クインテットの作品で、以降このユニットはメンバーを少しずつチェンジしつつ、RTFという名称のバンドとして活動するようになります。その発端となった第一弾アルバムがこれです。
このアルバムで油井正一さんはライナーのほぼ全面を費やして、このアルバムが生まれるべくして生まれたジャズの歴史を克明に書かれています。まさに教科書的解説。これを全部引用すれば話は終わるのですが、手短に説明しますとこんな感じです。
「ジャズの歴史は、(この1972年までの間に)ディキシーやスィングの時代→バップの時代→クールの時代→ハード・バップの時代→フリー・ジャズの時代→ポスト・フリーの時代と変遷してきた。ポスト・フリーを開拓したのは1969年のマイルス・デイヴィスのビッチェズ・ブリュー。このRTFは一見フリージャズとは縁がなさそうであるが、それを経たからこそ生まれた秀作。」ということのようです。ポスト・フリーとしてあげられているのは他にウェザー・リポートがあります。要するに、簡単に言えばフリージャズの時代を踏み越えて、フュージョン時代が到来したということですね。
ちなみに、我が家のジャズのバイブルの一つ「辛口!JAZZノート(寺島靖国氏著)」(講談社文庫)を読んでみると、チック・コリアがこのアルバムをリリースした当時、名だたるジャズ喫茶がこぞって、一時的であっても、お店でこれをかけてたそうです!
そこで、wikiを参照してみます。「フュージョン(Fusion, Jazz Fusion)は1960年代後半から現在に至るまでのジャズを基調にロックやラテン音楽、R&B、電子音楽などを融合(フューズ)させた音楽のジャンルである。一般的には、ジャズジャンルから確立されたものの一種に位置づけされている。」(by Wiki)
これに対して、ジャズロック:「ジャズ・ロック(jazz rock)とは、音楽のジャンルにおいて、ジャズおよびロックより発展した一つの演奏スタイルである。欧米ではJazz fusionと呼ばれることもある。」(by Wiki)
・・・つまり、1969年の時点で目出度くロックとジャズがフューズしたということですね。ジャズ側から寄ってくるとこのRTFのようになり、ロック側から寄ってくるとソフトマシーンとかハットフィールド・アンド・ノースとかそういう感じになるってことなのかも・・・。
ちなみに、なのですが、マーキー刊のアメリカンロック集成の表紙は、なんとマハビシュヌ・オーケストラの黙示録です。RTFは中身のアルバム紹介に少し入っている程度。しかし、普通、一般の人が、このRTFやマハヴィシュヌをロックとは言いませんから、プログレ・ボケはいい加減にしてほしいなぁと・・・。
とダラダラと書きつつもRTFそのものについて何も書いていませんね。とにかく、フュージョン誕生の記念碑的なアルバムです。B面の超大曲は今でもヘビロテ曲の一つです!チック・コリアもお亡くなりになりましたね。R.I.P.♪