ジャズロックらしいジャズロックというのはロックの歴史を概観する上では絶対に外せません。そこで、一押しなのがこのシャマールです。
ロックというよりはテクニカルなフュージョン感覚ではありますが、ジャズとロックのどちらのフィールドから出てきたのかという点がポイントでしょうか。そうしたバックボーンからくるロック的なノリというのは、やはりRTFやマハビシュヌ・オーケストラなどとは一線を画していると思います。
シャマールというのはアラビア語で、ペルシャ湾岸で吹く砂塵を伴う強風のことなのだそうです。ジャケットの絵は無風の砂漠ですが、シャマールの兆しって感じの絵なのでしょうかね(^^)
ゴングのアルバムの前作はYou。即ちラジオ・ノーム・インビジブル3部作が完結したところでした。それまでの中心人物であったデヴィッド・アレンとジリ・スミスが抜けてしまいました。特にデヴィッド・アレンの方は、一説によるとゴングのメンバーが上手くなりすぎてついてけなかったのだとか。
そうしたメンバーの交替により、ゴングの音からは、ヒッピーな感覚、御伽の国的な緩さが完璧になくなり、このアルバムからゴングは、かなりソリッドなフュージョン的な音に変貌しました。
私的には、このアルバムは、ゴングのアルバムの中で最もよく聴くアルバムです。ゴリゴリのテクニカル・フュージョンではなく、音に隙間がふんだんにあって、聴いていて肩の力が抜ける感じがするんですよ。でも、音楽自体は芯が通ってピリッとしているというか・・・そんな感じ。
ピンク・フロイドのニック・メイスンがプロデュースをしています。そのせいで音がちょっとだけソフィスティケイトされたのかなぁ。
特に、A面は長年のヘビロテです。Wingful of Eyesはベースが効いてますし、和的なBamboojiは特にお気に入り!お正月とか、桜の季節に絶妙に調和します。「御抹茶と和菓子が似合うバンブージ」って感じかな(^^)