大口径スピーカーでそこそこ大音量で聴くマグナカルタの迫力。やはり、いいですね~。このアルバムが出た当時、このメタリック且つシンフォニックな序奏一発で、パンクから80sPOPSまでの煌びやかだったけれど軽薄な空気が一気に浄化されたような気がしたのを思い出しました。
マジェランのファースト・アルバム。邦題は「アワー・オブ・レストレーション~伝承~」です。伝承はKansasのキーワード。なかなか攻めてきますよね!
当時は丁度プログレッシヴ・メタル黎明期でした。伊藤政則氏のライナーにもありましたが、ドリームシアターが一枚のアルバムを残して解散した・・・と思われていた時期でした。また、イット・バイツが活動を始めたのもこのちょっと前当たりでしたし、ネオ・プログレッシヴ的なムーブメントが、メタルやポップスのフィルターを通して再構築されつつあった時期という感じだったと思います。
アメリカでは、音楽プロデューサーのマイク・バーニーがそうした動きを支えるマグナカルタ・レーベルを立ち上げ、その第一弾アーチストとして世界的にリリースされたのが、このマジェランでした。音象は、アメリカン・ハードというよりは完璧にメタル寄りです。
なので、これをプログレッシヴ・メタルとくくるか、ハードプログレとくくるかは似非ぷろぐれブログとしては悩ましいところなのです。・・・分かる人だけ分かってね。マイク・バーニー自身は当時シンフォニック・ハード・ロックと呼んでいたらしいですね。
アルバムのトータル収録時間が全部で50分弱。LP程度の時間なので中弛み無くなかなか聴きやすいアルバムでもありました。
録音メンバーのクレジットの中でドラムがMagellanだそうで、これは生身ではなく打ち込みということなのでした。
マジェランは取り上げる題材が、意外にも固く、このアルバムの冒頭はマグナカルタです。1993年のセカンドアルバムの冒頭では、ピノチェト軍事政権(1973年にチリのアジェンデ社会主義政権時にクーデターを起こし、左翼市民を大虐殺した政権だそうです)、3rdの終曲は謝論祭(ソラノ郡工学記録文書保管所第一保管室)であったりします。
兎に角このように、なんだか小難しい題材をモチーフにした曲作りをしているバンドなのですが、音の方は、至ってオーソドックスなメタルよりのシンフォニック・ロックです。アルバムを発表する毎にハードさが段階的に強まってきており、第3作ではノイズ系に向かう寸前の硬質な畳み掛けにまで突き詰められています。
そうした音の変遷がある中で、やはり、一番聴きやすく、しかも、肩肘張ることなくクールにプログレッシヴ・ロックしている曲は、何をおいても、この冒頭のマグナカルタに尽きると思います。ちょっとカッコイイ感じのメロディーライン、適度な展開15分弱の曲長。4曲目のユニオンジャックもそうした延長線上の展開です。改めて聞き返してみると、打ち込みのドラムも、特に乾いたスネアのサウンドが古い英国のプログレと決別するかのような新しい響きを秘めていてなんだかいいですね~。
残念なのはジャケットくらいでしょうか(これはマグナカルタレーベル全般に言えるのですけどね)。この三流感というか緩さは、このアルバムの緻密さにそぐわないと思います。アルカディア号とイエスのこわれもののあいのこみたい。ピーター・ロイドとかに描いてもらってれば完璧だったのにね。聴いたことがない人は、是非、聴いてみてくださいね。すっごいいいから~(^^)
今回、「復活してほしいグループ」よいうブログネタに投稿しました。既出の投稿を見ると、ジャニーズとかビートルズとかその辺ばかり。浮くだろうなというか理解されないだろうなぁというところ。ガードナー兄弟、R.I.P.です!